町長室

町長からこんにちは(広報たかより)


広報たか2021年1月号より
  新年明けましておめでとうございます。令和3年の幕開けです。皆さんにはご健勝にて、新年をお迎えのこととお慶び申し上げます。
 令和2年は新型コロナウイルス感染症に振り回された一年でした。皆さんにおかれましても、感染症対策で不自由な生活を強いられるとともに、それぞれの業種において大変苦しい経営状況であったことも察するに余りあると思います。
 多可町では、今のところクラスターのような感染拡大事案は見られませんが、全国的に新型コロナウイルスの感染拡大傾向にある中、私たち一人一人が日々できることに取り組むとともに、医療従事者の方々への感謝と感染者やそのご家族への配慮を忘れずに、力を合わせてこの困難を乗り越えましょう。
 昨年を振り返りますと、町行政では、当初に多可町の行政課題の説明と皆さんの声を聞くための「タウンミーティング(住民説明会)」の開催を計画していましたが、コロナ禍のため、たかテレビでの放映に変更せざるを得ませんでした。
 また、ふるさとの夏まつりやふれあいまつりなど、ほとんどの計画行事も中止や縮小開催となり、皆さんには多大なるご理解とご協力をいただきましたこと心よりお礼申し上げます。一刻も早くワクチンなどの対策が功を奏して、普通の生活を取り戻すことができるようにと願いますが、一方で、新たな生活様式の定着による仕事や生活の変革にも期待するところです。
 このような中ですが、千年以上の歴史を誇る杉原紙の復元50周年事業を昨年11月に、コロナ対策を講じた中で開催することができました。
 山田錦の種子の開発から80年、敬老の日制定から50年、と多可町発祥の文化伝統技術が、皆さんのご尽力で長年引き継がれてきたことに誇りを抱き、さらなる継承を心に誓うきっかけとなりました。
 今年は、やはりコロナ禍で延期になった東京オリンピック・パラリンピックの開催が待ち遠しい反面、開催できるかどうかが大変不安な年でもあります。
 東日本大震災からの、そして、新型コロナウイルス感染症からの復興の兆しとして、このオリンピックの聖火が鮮やかに燃え上がることを期待してやみません。
 皆さんにとっても、この年が昨年の滞った気配を払拭する素晴らしい年になることを祈念し、新年の挨拶といたします。

 

広報たか2020年12月号より
 11月5日、福井県若狭町と鳥取県若桜町と多可町の3町友好交流サミットが、福井県若狭町で開催されました。
 この2町との関係は、平成28年に「友好交流協定」を締結し、自治体同士の相互扶助や観光交流促進、災害時における相互応援を目的に関係を深めてきました。
 鳥取県若桜町は、旧加美町役場前に展示していた蒸気機関車「C12167」が移設された町です。そのSLは今でも現役で展示走行しています。ぜひ一度訪れてみてください。
 また、福井県若狭町は、原子力発電所所在地の隣接町で、万が一原子力災害が発生し、全町避難の状態に陥った場合は、多可町がその受け入れ町となる、災害協定により交流が始まりました。
 若狭町は、観光資源が豊富な町で、皆さんも『恋人の聖地』として有名なレインボーラインや山頂にある天空テラスからの三方五湖の眺望を体験した方もおられると思います。その他、常神半島の民宿や熊川宿の文化歴史施設が有名です。
 この3町では、お互いの産業展や町主催のお祭りに地場産品を持ち寄って販売促進を図っています。
 今回は特にコロナ対策の事業展開の報告や情報交換を行いました。それぞれの町において、さまざまな特徴ある施策を立案されており、お互いに参考にしながら新たな施策の検討を進めていきたいと考えています。
 多可町は、2町以外にも、宮城県村田町と「災害時相互応縁協定」を結んで交流を行っています。村田町とは、東日本大震災に際して、多可町から緊急支援物資を全国で一番早く届けたことが縁で交流が始まりました。  
 当時は、沿岸の津波被害地域への物資配給拠点として、自らも被災する中大変な苦労をされたとお聞きしました。
 こうした協定をきっかけに、行政だけでなく住民同士の観光や地域交流へと広がっていくことを願っています。
 

広報たか2020年11月号より
多可町加美区発祥の杉原紙は、昭和初期に寿岳文章、新村出、堀部正二、藤田貞雄ら各氏の研究によって、杉原谷地区がその発祥であり、中近世を代表する和紙であることが検証され、それを契機に昭和45年に杉原紙が復元されました。今年は復元から50年目を迎える節目の年になります。
 1000年以上の歴史がある杉原紙を多可町の先人が考え出し、世に広めていったことは、我々の代にとっても大変名誉なことで、その価値を再認識するとともに、その技術を発展的に保存継承していくことの重要性を感じています。
 平成28年には杉原紙総合調査委員会を立ち上げ、詳細な調査を実施し、平成30年度に杉原紙総合調査研究書が発行されました。
 詳細は研究書に任せるとして、今から数百年前、日本の文書主義社会の発展にともなう紙に対する需要の高まりとともに、杉原紙への需要が高まり、その品質が認められて全国に広がっていった経過が明らかになりました。
 明治以降に格安で扱いやすい洋紙に押されて、全国的な和紙利用の激減にともない杉原紙の生産も衰退しましたが、多くの人々の誇りや強い思いがかたちとなり、町立の杉原紙研究所が設立され、1000年以上続く技術の継承につながってきました。
 奇しくも、菅内閣が新しく組織され、その目玉施策としてデジタル庁が創設され、ペーパーレス行政への方向転換が図られる今年となりましたが、当地や近隣においてはまだまだ紙文化が根強く残っていますし、紙による安心感も否めない感覚だと思います。
 先人の知恵を引き継ぎ、次の世代に伝えるべく、日本の紙文化形成に大きな影響を与えた貴重な歴史文化遺産、地域特産として、杉原紙の製造技術やその美しさを守っていくために、努力を重ねて参ります。


 

広報たか2020年10月号より
先日、多可町の医療・保健・福祉統括参与で多可赤十字病院名誉院長の松浦尊麿医師が書かれた書籍「地域を紡ぐ包括的医療・ケア」を拝読しました。
 先生が医師としての経験を通して、これまで取り組んでこられた地域医療や共生社会への取り組みの重要性や、今後の医療・介護のあり方をまとめた書籍です。
 先生にとって、多可町は一赴任地であるにもかかわらず、赴任当初から町の医療問題を体感され、住民にとって将来必要になる地域医療の整備を進めてこられました。
 その一つが、多可町地域包括ケアネットワークです。医師の立場だけでなく、看護や介護、福祉や保健の担当者も含めた連携会議を組織し、関係者の情報共有とスキルアップ、地域資源の整備と活用で、「地域包括医療」の実践に尽力されました。

 私も選挙公約として「地域共生社会の仕組みづくり」を掲げ、行政職員や相談機関がいろいろな複雑な事案を、我が事として受け止め、丸ごと相談にのる体制作りを目指してきましたが、先生の書籍を通して本当にやらなければならないことだと改めて確信しました。
 先生は書籍の中で、「住民の願いは、老後に至るまで安心して住み続けることができる地域であって、「安心」とは単に老後の介護保障だけではなく、健やかに健康を保持しながら生きがいを追求できる地域社会である。そのためには、関連分野の施策が連動して包括的な地域ケア体制が必要」と書かれています。
 町では、本年度から包括的な地域ケア窓口として、「ふくし相談支援課」を組織し、また、共生社会の重要な仕組みである地域コミュニティの醸成のための学習会(コークゼミ)や地域住民の生活支援活動を支援しています。
 今後さらに進む少子高齢化に備え、住民の皆さんの安全・安心を追求してまいります。


 

広報たか2020年9月号より
令和2年7月豪雨は、日本全国に被災が広がり大変大きな災害でした。住民の皆さんも自然災害の恐ろしさを改めて痛感し、備えることと避難の重要性を認識いただいたと思います。亡くなられた方々のご冥福をお祈り申し上げますとともに1日も早い復興を心から願います。
 昨年の多可町文化連盟発行の「たかの風第13号」に『昔取った杵柄』と称して大学時代に所属していたヨット部の話を投稿しました。
 駄文の上に希な知識に関する内容であったと気にしておりましたが、海から遠いこの地域にも同様の経験がある方があり、連絡をいただき感激した次第です。
 そして、昨年の夏にこのご縁のおかげで、久しぶりに宮津でヨットに乗ることができました。宮津湾のたもと付近から出航し、先端の伊根湾まで航行し、女性杜氏で有名な酒蔵を海から訪問しました。
 勇ましいモーターボートと違い、ヨットは音と波をかきわける音だけです。そして風の力だけで思う方向に移動することができます。同乗した友人には初めての経験でしたので、風を使って風上に向かう、つまり風が前から吹いてくることを体感して驚いていました。久しぶりのデイクルーズとなりました。
 ヨットを走らせるには、艤装といってさまざまな道具を正確に配置し、数多くのロープをいろいろな方法で結束する必要があります。久しぶりの作業でしたが、若い頃に覚えたことは忘れないのだな、と感じました。
 これが『昔取った杵柄』というわけです。
 新型コロナウイルス感染症の影響で、東京オリンピックが延期となりましたが、メダルが期待される女子ヨット470クラスの吉田・吉岡ペアには来年さらに期待が膨らむところです。30年前にはマイナーなスポーツでしたが、彼女たちの功績でメジャースポーツになることを期待しています。

 

広報たか2020年8月号より
7月に入り、「線状降水帯」といわれる梅雨時期の集中豪雨により大規模な災害「令和2年7月豪雨」が発生しました。九州南部球磨川流域の皆さまには、亡くなられた方々のご冥福をお祈り申し上げるとともに、被災地の一日も早い復興を願ってやみません。
 夏の猛暑や梅雨の豪雨などは、地球温暖化が原因といわれています。私たち人間の暮らしが気候へもたらす悪影響について、各自の生活様式を可能な範囲で再検討しなければならないのではと思います。
 さて、今年の夏休みはコロナ禍の影響で大きく短縮となりました。子どもたちは暑い中がんばって通学し、遅れた学習課程を取り戻さなければなりません。
 多可町内の小中学校のすべての普通教室には、エアコンを整備していますが、新型コロナウイルス感染予防対策のため、教室は窓を開けて使用することが原則となります。そのため、教室は涼しい環境とまではいかないのでは、と思っていたところ、多可町商工会青年部の皆さんから小学生に「クールタオル」をプレゼントしていただきました。
 これは水に濡らして空気にさらすとひんやりとする素材で、暑さ対策になるタオルです。本当に気遣いにあふれるプレゼントでした。
その他、多くの皆さんから新型コロナウイルス感染対策関連でご寄贈・ご寄付をいただきました。
 町では、小学生の真夏の通学を安全なものにするため、低学年や遠方の児童についてはバスなどで送り届けることを計画しています。
詳細は学校からご連絡しますが、午後の炎天下に長距離を歩いて帰ることがないように配慮します。
 コロナ禍はもちろん自然災害についても今後十分な注意が必要です。誰もが当事者意識を持ち、広域な準備を日ごろから心がけていただきますようお願いいたします。

 

広報たか2020年7月号より
コロナ禍のため延期していたタウンミーティングを、7月18日、25日、8月1日に開催する予定です。ご都合の合う会場にぜひご来場ください。
タウンミーティングの議題の一つとして、「生涯学習センター」について予定していましたが、新型コロナウイルス感染症の影響からの復興に時間がかかること、また感染再流行の恐れのある中で、タウンミーティングの議題としては適当でないと判断し、多可町のコロナウイルス対策の議題に変更しました。
生涯学習センターは、町合併時に約束した数多くの「合併協定項目」の一つで、現時点で着手できていない事業です。
生涯学習センターについては、平成25年度に住民の皆さんによる「生涯学習センター建設基本計画策定検討委員会」で、その機能を検討していただきました。
委員会からは、生涯学習の拠点として、図書館・学習室・研修室・調理実習室・ホールなどの機能が入る施設建設案を、提言として答申いただきました。
この答申を受けて、平成26年度当初予算に当該施設の実施設計予算を計上したところ、当時の議会において、庁舎の建設を最優先にするよう判断いただき、センターの建設は留保となりました。
 このセンターを含めた一連の合併時の約束については、合併特例債という町にとって大変有利な事業補助を国から受けることが出来ます。ただしその事業には期限があり、2025年までに利用しないと対象外となります。
 あらゆる世代がお互いに学び、教え合い、つながる町をつくるため、生涯学習の拠点となる施設が必要と考えています。
 生涯学習センターの整備は、今後も重要課題の一つとして取り組みます。