一方で、ソーシャルメディアには、匿名性や一方的な記述が可能であるといった側面もあり、また、インターネットへの情報発信は、様々な背景や事情を持つ不特定多数の利用者がアクセス可能であるため、不正確な情報や不用意な記述が意図しない問題を引き起こし、社会に対して多大な影響を及ぼす場合もあります。したがって、ソーシャルメディアを使いこなすためには、その利用者がソーシャルメディアの特性や自らに関わる社会的規範などを十分理解する必要があります。
職務として町政情報を発信する場合だけでなく、一個人として立場を明らかにせずに発信した場合においても、不適切な記述が引き起こした事態の影響が組織に及ぶ場合もあります。場合によっては、地方公務員法(第33条及び第34条)における信用失墜行為等に該当するものとなります。自治体としてもこうした側面を理解し、リスク対策に留意する必要があります。
そこで、多可町職員(以下「職員」という。)が、公私を問わず、ソーシャルメディアを適切に利用し、その有用性を十分に活用できるよう、職員がソーシャルメディアを利用する際の基本的な考え方や留意点を明らかにする「多可町職員のソーシャルメディアの利用に関するガイドライン」(以下「ガイドライン」という。)を定めることとしました。
1 ソーシャルメディアの定義
ソーシャルメディアとは、ブログ、SNS、ツイッター、電子掲示板、ホームページ等に代表される、インターネットやウェブに基づく技術を利用してユーザーが情報を発信し、あるいは相互に情報をやりとりする情報の伝達手段をいう。
2 ガイドラインの必要性及び目的
ソーシャルメディアは有効な情報の伝達手段である一方、その情報が不正確であったり、法令や公序良俗に反したり、さらには意図せずして特定又は不特定の人たちの感情を害した場合には、発信者のみならず町政に対して想定しない影響を及ぼす場合もあることから、事前にそれらリスクを回避するため、職員が留意すべき事項を明らかにしたものがこのガイドラインです。
3 ガイドラインの適用範囲
(1)このガイドラインは、地方公務員法の一般職、特別職の区分なく職員全てに対して適用する。(ただし、公職選挙法に基づき選ばれる者を除く。)
(2)このガイドラインの適用について、ガイドラインに定めのない事項については、総務課長に協議するものとする。
4 ソーシャルメディア利用に当たっての職員の一般原則
(1)ソーシャルメディアを利用して情報を発信する場合には、職員であることの自覚と責任を持たなければなりません。
(2)地方公務員法その他の関係法令並びに職員の服務及び情報の取扱いに関する規程を遵守しなければなりません。
(3)基本的人権、肖像権、プライバシー権、著作権等に関して侵害することがないよう十分留意しなければなりません。
(4)発信する情報は正確を期するとともに、その内容について誤解を招かぬよう留意しなければなりません。一度ネットワーク上に公開された情報は完全には削除できないことを理解しておく必要があります。
(5)意図せずして自らが発信した情報により他者を傷つけたり、誤解を与えた場合には、誠実に対応するよう努めなければなりません。また、自らが発信した情報に関し攻撃的な反応があった場合には、冷静に対応するよう努めなければなりません。
(6)次に掲げる情報は発信してはなりません。
ア 他者を侮蔑する情報
イ 人種、思想、信条等を差別し、又は差別を助長させる情報
ウ 違法若しくは不当な情報又はそれらの行為を煽る情報
エ 流布することを目的とした事実と異なる情報
オ 閲覧者に損害を与えようとするサイト及びわいせつな内容を含むサイトに関する情報
カ 故意にネットワーク上の善意の情報交換を妨げようとする情報
キ その他、公序良俗に反する情報
5 ソーシャルメディアを利用して多可町町政に関する情報を発信する際の基本原則
(1)町(町と関係を有する者又は団体を含む。以下同じ。)の秘密に関する情報を発信してはなりません。
(2)町に損害を与えるおそれがある情報を発信してはなりません。
(3)町のセキュリティを脅かすおそれのある情報を発信してはなりません。
(4)自らの職務に関する情報を発信する場合は、守秘義務を果たすとともに、意思形成過程における情報の取扱いに十分留意しなければなりません。
(5)自らは職務上直接関わらない事項であっても、町政に関する情報を発信する場合にあっては、その情報が不正確な場合には町政に重大な影響を与えるおそれがあることについて十分留意しなければなりません。
6 違反行為又は事故発生時の対応
このガイドラインに違反する行為があった場合、あるいは違反行為による事故が発生した場合は、関連法令に準じて対応するものとします。
平成23年4月12日
作 成 多可町総務課