こんにちは。たかおこし隊の黒川です。
ここ数日、濃密な取材が続き、エッジが立った価値観とご経験、山積みのメモ・資料にくらくらしています。
今朝(12月16日)、そんな酩酊感を吹き飛ばす一報が――
「千ヶ峰、冠雪」
それはそれはと撮影に出かけました。
撮影スポットを探し、加美区をさすらう
多田、岩座神、春蘭荘 ―― 撮影場所を変える度、新たな表情が見える千ヶ峰。
多可町と神河町の境にそびえ、1000m以上の山としては、中国山地の最東端だとか(標高1005.2m)。
ぼくは11月、多可の森健康ウォーキングで登って以来の対面です。
【 レポート/多可の森健康ウォーキング(千ヶ峰市原) 】
https://www.facebook.com/okoshitaka/posts/1209291582804731
早朝、頂を白く染めていた冠雪は、太陽の位置が高くなるにつれて溶けたのか、すっぴんの山肌が覗くようになりました。
それでも、山陰にある田畑や畔道、椅子は雪に覆われ、歩くたびにサくサくと鳴る、足の先っぽも同じこと。
さ、さ、寒むっ!
加美区を北に上がるにつれ、体感温度はぐっと下がり、窓ガラスに吹き付ける粉雪 ――
昨日、西脇市で取材していたとき、空は晴れ渡り、同時に雪が降っていました。
地元の方は見慣れているのでしょうか? 誰も、何も言いません。
雪を降らせる曇は見えず、それでいて吹雪いて……ぼくにとって印象深かった現象は、今朝も同様、快晴と雪。
青空から陽射しが注ぎ、粉雪が鱗のようにキラつきます。絵になる景色です。
1枚撮ろうと車から降りると……
寒ムっ!
ダウンジャケットも役に立たず、隙間風が入るスキがたくさんあることを思い知らされるだけ。
肌着の上にロングティシャツ、襟付きシャツ、セーター……重ね着も意味をなさず、寒気が全身に沁み込みます。
さらに、「臍の奥に氷でも埋まった?」と疑心暗鬼させるほどの冷えが体内にあって、鈍い痛みとともに全身を重たくするんです。
これが多可の、加美の寒さかぁ。
ながらく「夏よりも冬が楽」などとうそぶいてきました。坊やだったな……とガタガタ震えながら本物の寒さを痛感していると、気が遠くなって瞼が……瞼が閉じそうになったのはぼくではなく、カメラレンズ。
ワイド側で撮影すると、右上と左下の隅に暗がりが現れます。まるで眠りに落ちる寸前のような絵です。
奇しくもメインのカメラボディが不調に陥り、強制収容されたばかり。事によっては片道切符? 2度と帰れない憂き目かもしれません。
そうか……合点しました。永遠に眠るなら慕う人の傍で……の心境 ―― レンズは置いてけぼりが辛かった、終着点がどこであろうと連れていって欲しかったのだ、と。
「ただし、メンテに出したのがCanonボディ、うとうとし出したのはSONYレンズ。生のままじゃ結ばれ得ない2人の悲恋、これいかに」とキーボードをタイプしていたら、ピコーンと通知が届きました。送信者はSONYカスタマーのAJさんです。
チャットサポート
AJ ―― 大変お待たせいたしました。この度は、弊社のレンズ使用でお困りのところ、ご案内までにお時間がかかり申し訳ございません。また、お待ちいただきましてありがとうございます。
(心の声:これはこれは、ご丁寧にどうも。40分待った甲斐があるように1つ、ご享受くださいよ)
AJ ―― サポートを始めさせていただきますので、よろしくお願いいたします。ご案内の中でわかりにくいところがあれば、遠慮なくお申し付け下さい。
黒 ―― よろしくお願いいたします。
AJ ―― 送付いただいた画像、拝見いたしました。ご提供ありがとうございます。
(心の声:修理ですよね……)
AJ ―― ワイド側で画像の右上、左下に影が見受けられますが、こちらはおそらく「レンズフードがしっかりセットされていない」ため、レンズフードが影になっている状態かと存じます。
(心の声:え……、え??)
AJ ―― 一度フードを外していただき、再度しっかりと取り付けていただき、広角側で撮影いただき画像を確認いただいてもよろしいでしょうか?
(心の声:え? え?)
慌てて再セッティングすると……いやいや現場でもやった、やったはずですよ……なのに、いま見るとつがいの影なんて、それこそ影も形もありません。
黒 ―― (心の声:床を舐めるほどの腰の低さで)おっしゃる通りでございました。的確なアドバイス、ありがとうございました。
AJ ―― 大丈夫そうですね、よかったです。
(心の声:急にフランクな感じが羞恥心をくすぐるう)
AJ ―― 引き続き撮影をお楽しみください。ご案内は以上となりますが、他にご不明点はございませんでしょうか?
黒 ―― ほかには問題ございません。お世話になりました。(突っ伏しながら)
きつい寒気は去ることなく、明日も列島を飲み込むとか。
多可町の山並みが雪に覆われたら、記録しに行こうと思います。
風土に気を配りながら。
(おわり)