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【 たか歩き/048 】多可町でも指折りの景観、棚田百選の岩座神(2021年9月19日)

地域おこし協力隊がカメラ片手に多可町を歩き、その様子をリポします

彼岸花もあちこちに



こんにちは。
9月18日の神戸新聞に名前が載り、驚いた黒川です。
(匿名だと思っていた……)


昨年、稲刈りが終わった時期に越して来たので、稲刈り前の岩座神を楽しみにしていました。ぼくは米どころの出身ではないので、生活圏内に田んぼがあったり、稲が苗から育つ様子が見られたりすることが新鮮なんです。歴史の重みを感じさせる石垣も見飽きません。

というわけで9月に入って兵庫県多可町の加美区、岩座神(いさりがみ)に通い、集落の運営やイベントに関わる方にお話を伺ったり、集落をぐるりと歩きながらスナップしたりしました。

 



すこしづつ稲の背が高くなり、穂が膨らむ様子は見られたのですが、曇りや雨が続き、撮影は難航。ようやく晴れ間に恵まれたのが、16日の午前でした。
岩座神の皆さん、お忙しいところ取材へのご協力ありがとうございました。

今日は岩座神の棚田について少し書き、風景写真をアップします。


 

ルーツは鎌倉時代 ~伝承された農業と景観



兵庫県多可町岩座神の棚田は、鎌倉時代に起源があるとされ、現在は農林水産省から「日本の棚田百選」に選定されています。

 



棚田は山肌にあるので、陽射しを受けられる時間は長くありません。町内の平野にある田んぼに比べ、7割前後の収穫量という説も。景観は美しかろうと、米作りに適しているわけではないんですね。「見事な景観」と「収穫量」を勝手に結び付けていました。


 


 


 


 



そんな岩座神の棚田を見て回っていると、あることに気づいたんです。



 

あれ? 稲穂が……?



写真まんなか辺りのくぼみ、わかりますか? こんな感じで、田んぼのところどころの稲穂が倒れていたんです。

鹿が暴れたのか、猪が倒れ込んだのか……台風は来ていないし、風だとしたら全体を倒すもんじゃないか……と農家さんに疑問をぶつけると「風じゃないですよ、獣のしわざでもない(笑)あれは、穂が大きくなるから」と教えてくれました。

「“実るほど首を垂れる稲穂かな”っていうでしょう? 稲穂が膨らんで重たくなって、いまぐらいの時期になると倒れる稲も出てきます。稲刈りがすこし大変になるくらいで、倒れたってどうってことはない。ただ、収穫のずいぶん前に倒れると腐る危険性が高まります」


 


 


 



稲は暑すぎると殻を厚くし、米を小さくさせるそうです。日照時間が短ければ生育が遅れるでしょうし、育てば育ったで早く倒れる危険性もあって……農家さんの気苦労は計り知れません。

多可町のなかでも味の良さでしられる「棚田米」は、こうした厳しい状況にも負けずに棚田を整備し、稲を育てる農家さんによって作られているんですね。


 



あんなに幅の狭い棚田にもコンバインが。

 


 



 

逆風に負けず

岩座神の住民が町外の方と手を取り合った「棚田オーナー制度」は昨年、23年間の歴史にいったん休止。最盛期は500人を集めた名物イベント「棚田カフェ」も昨年、今年とコロナ禍で中止になりました。

棚田の数は344枚(11.8ha)と記録されるものの、耕作されない田んぼも増え、現在の米農家は9軒だそうです。

長年、岩座神の振興に携わった方も「年齢とともにやれることが限られる。まだまだ、やろうと思えばいろんなことができるだけに、歯がゆいですね」と話します。



 


岩座神の景観の中でお茶をいただきながら、地域の方に集落や米作りの歴史を伺う。帰りはお土産を買って大事な人に届ける ―― 

岩座神の「棚田カフェ」、贅沢な体験ですよね。来年こそ遊びに行きたいです。情報発信でもご協力できたら。


 


そうそう、多可町の小学生のなかに、「もみ殻」が稲の穂を守る皮だと知らない生徒がいると聞きました。棚田を案内し、実際に触らせると「これって米の皮やったんや!」と驚くそうです。

この記事を読んでくださった方、小学生だった頃……もみ殻は稲穂の皮だと知っていたでしょうか? ぼくはどうだったかなあ。


 


 


 


 



秋トンボは足音や気配に敏感。

これも岩座神で学びました。

 

(2021年9月19日)

連載【 たか歩き 】

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多可町地域おこし協力隊・黒川直樹が取材記事や製作・SNS関連のノウハウ、多可町暮らしのあれこれを発信しています。
散策的なエッセイを目指していたのですが、近ごろは走行距離が増加。思いがけない長距離走に酸欠状態が続き、足腰がふらつくので、迷走が近いかもしれません。
取材・撮影・執筆:黒川直樹(多可町地域おこし協力隊(たかおこし隊) )

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