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【 たか歩き/045 】5000首の和歌をAIにインプット?(町民文芸誌「たかの風」第16号 原稿募集)

地域おこし協力隊がカメラ片手に多可町を歩き、その様子をリポします

変わり身で迎える初秋



こんにちは。たかおこし隊の黒川です。


今日のたか歩きは

AIの言語作品創作
書くことの不思議な経験

町民文芸誌「たかの風」第16号 原稿募集


がテーマです。



 


 

梅が枝に なほ降り初むる 梅の花 なほ芽のもとに 鶯ぞ鳴く


こんにちは。たかおこし隊の黒川です。

「いきなり和歌?」と思われたかもしれません。

さっきの和歌ですが、詠み人はぼくじゃなく、AI。
自動生成プログラムによる創作です。

<参照記事>
AIが人間の創造能力を超越する日は来るか? 西安交通大学の「和歌」自動生成プログラム(HON.JP 連載:馬場公彦の中文圏出版事情解説)
https://hon.jp/news/1.0/0/31262?utm_source=BenchmarkEmail&utm_campaign=HON.jp_%23144&utm_medium=email

記事にはほかに、こんな歌も紹介されています。

 

紅葉散る 山の嵐の いたづらに 紅葉のみこそ 知られざりけれ

冬来ぬと 思ひ明石の 柴の庵 枕に残る 霜の音かな


一句に「なほ」や「紅葉」が繰り返されるなど、人にとっては馴染みづらさがあるものの、歌の骨格みたいなものは感じられますね。
 

もっとも、言語作品の自動生成については俳句や短歌、漢詩などの開発が先行。すでに「歌人AI」なる短歌生成モデルも存在しているそうです。

ベースになったのは与謝野晶子、岡本かの子、柳原白蓮、九条武子、原阿佐緒ら異能・鬼才の近代女性歌人がずらり。

しかもインプットされた作品は、なんと5000首……!? 亡き骸をつぎはぎし、電気ショックで怪物化させたミスター・マッドネス、フランケンシュタイン博士よろしく、えぐい合成っぷりです。

どんな歌が産出されるのか……




書くことならではの体感

新型コロナウイルス出現前、メディアの話題はAIで持ち切りでした。中世絵画のようなタッチの絵を描くなど、クリエイティブ分野の研究も進んでいたように記憶しています。

AIの研究が発達すれば、人間の作家(という言い方もSFチックですが(笑))を凌駕するんでしょうか?

「人間の作家って誰のことだよ! 平均化できるわけあるかい!」とか、「すでに読み切れないくらい傑作が数多。AIが書いたすごい小説が出てきて、それがなんなん?」みたいな御意見があるかと思います。

まぁ……まぁもし、もしですよ? そんな時代が来たとしても、人間は書くことをやめないと思うんです。自分で書く。書いてみる。ぼくは、この世界に傑作が増えることより、それのほうがずっと大事なことだし、そもそも作品の優劣なんて取るに足らないのではないかなぁと。

俳句や詩、小説 ―― 頭に浮かんだ景色や情緒、喉に引っ掛かる単語をとっかかりに、言葉と言葉、その並びを適切な(と感じられる)抑揚や文節、綴り、運びで定めつつ、印象的な文章世界の立ち上げを目指す文芸……なんて書くと小難しそうですが! 要するに「思うがままに書いてみる」作業。

書いてる状態って、いろんなことを思い出させてくれるじゃないですか? 懐かしい記憶が蘇ったり、執筆中に辿りついた単語に触発されてアイデアが湧いたり、時代を隔てた経験と出来事が見えない糸で結びついたりする。

書くことならではの体感……人によっては執筆体験の神秘、なんていうかもしれませんね。「仕上がった小説は問題じゃない。作書く行為、その中にしか本当の作品は存在しない」と話す作家もいます。

なんにせよ、ちょろちょろーっと書いていると「よく知っている」と思ったり、「大昔に意味づけが終わった経験」だったりが、「あれ? なんか、思ってたのと違う……」と形を、意味を変える体感 ―― 自分を構成する意識や感覚、土台が揺らぎ、新たな立ち位置の出現ですね。

これって、もしかすると変身に近い感覚でしょうか? フランケン博士。

本日は、「たかの風』が原稿を募集しているので、懐かしい記憶でも辿りながら、“ああ、そういえばあんなこともあった。いや、実はこういうことだったのかも……”なんて、書くことによる変わり身を体験してみませんか?」という、晩夏のお誘いです。




町民文芸誌「たかの風」第16号 募集要項
 



▼応募資格
多可町に在住・在勤・通学
多可町出身
多可町文化連盟会員

▼募集内容
随筆、民話、詩(800字以内)
短歌、俳句、川柳(一人一首、または一句)
カット絵、イラスト(一人2点まで)
※それぞれ自作、未発表に限る

▼締め切り
2021年9月11日(土)

▼発行
2022年3月の広報誌に同封

▼注意事項
作品に「住所・氏名・電話番号・学校名と学年を明記(児童・生徒のみ)

応募方法は2通りあります。

1.専用の原稿紙を使用
原稿用紙配布場所:ベルディーホール、多可町図書館、中プラザ、加美プラザ、八千代プラザ

2.下記アドレスにwordファイルを添付
verde@town.taka.lg.jp

▼応募先(問い合わせ先)
〒679-1113 
兵庫県多可郡多可町中区中村町135
ベルディーホール内
「たかの風」編集委員会事務局
TEL:0795-32-1300
FAX:0795-32-4060
MAIL:verde@town.taka.lg.jp

▼募集動画



まとめ

以上、募集要項でした。

AIの言語作品創作については、自国の言葉しか喋れない人同士が出会ったとき、自動翻訳によるタイムレスな会話を実現するなど、文芸世界ではないところでの応用が期待されているそうです。

今後、AI創作アプリが単語やセンテンスを複数打ち込めば、辻褄のあう文章にしてくれたり、ストーリーを書いてくれたりするようになるなら、辛い過去や体験、PTSD/トラウマを言葉で解きほぐすセルフケアにも使えるんじゃないでしょうか。

ぼくは、これらの分野に注目してます。

恋する書くこと苦手男子にとっては、恋文の代筆こそ頼みたいことかもしれませんねー

 

(2021年8月27日)

連載【 たか歩き 】

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多可町地域おこし協力隊・黒川直樹が取材記事や製作・SNS関連のノウハウ、多可町暮らしのあれこれを発信しています。
散策的なエッセイを目指していたのですが、近ごろは走行距離が増加。思いがけない長距離走に酸欠状態が続き、足腰がふらつくので、迷走が近いかもしれません。
取材・撮影・執筆:黒川直樹(多可町地域おこし協力隊(たかおこし隊) )

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