「おしりだって、洗ってほしい」
いきなりですね。たかおこし隊の黒川です。
年明けにヒップと交信できるようになったわけではなく、さきほどのはキャッチコピーの引用。
TOTOが1982年、温水洗浄便座「ウォシュレット」のCMで用いました。
コピーを書いたのは仲畑貴志。「目の付けどころがシャープでしょ」など、業界で神と崇められる第一人者です。
▼参考記事
「おしりだって洗ってほしい」TOTOウォシュレットを爆発的なヒットに導いた戸川純のCM
ぼくは当時、蒙古斑の鮮やかな桃尻時代を食っちゃ寝で過ごし、ぷくぷくに太っていたので、ウォシュレット・戸川純・おしり&キャッチコピーの威力は体感していません。
ただ、どこかで覚えたのでしょう。
「おしりだって、洗ってほしい」と聞けば、「あぁ、戸川純。ウォシュレットのコピーね」と分かるし、このフレーズをそらんじた大人たちが、年甲斐もなくヒップトークで盛り上がる様子を何度も目にしました(昭和あるある?)。
コピーライティングのコツ
みなさん、SNSやブログなど利用していますよね。IT化が進み「ここ数年で、ネット上に発信される情報量が、かつての500倍を超えた」なんて説もあります。洪水のような情報世界です。どうにか人目を惹き、その先の成果につなげるべく……文字を大きくしたり、画像や動画と文章を組み合わせたり、様々な手法が出現。
それと同時に、セオリー(原理原則・定石)が見直されています。
キャッチコピー作りでよく使われるのが、「ライバルの弱みを突く」。
たとえばタクシーなら……どんなライバルがいて、どうすれば弱みが突けると思われますか?
案件やテーマによって異なるとはいえ、ぼくだったら……タクシーは第1に移動手段なので、ライバルといえば公共交通機関、あるいは人力(マイカーや自転車、徒歩)かな、と考えます。
<ライバルの弱点を見る>
ここではライバルに電車を想定。さらに、その弱点を見つけます。
・本数に制限がある(時刻表)
・営業時間に終わりがある(終電)
・立ち乗りになるかもしれない
・駅からしか乗れない
・大きな荷物があるとき、運ぶのに苦労する
・ちいさな子供やペットと移動しにくい
・ケガや障害がある人にとって使いにくい
・軽犯罪の被害にあうリスク
などなど、いくつも挙がりますよね。いま、電車の弱点を考えると、上位に挙がるのは「密」でしょう。
駅から駅の間、車内は密室。時間帯や路線よっては、混雑に身を置くことになります。
タクシーは運転手と密接ですが、ラッシュはありません。
<弱みを強みに>
つぎに電車の弱みをタクシーの強味に置き換えます。
・混雑による密を回避
・24時間営業
・座れる
・いつでも呼べる
・自宅の前が駅のようなもの
・大荷物はトランクに
・子供やペットと一緒でも移動が楽々
・ケガや障害があっても、それなりに対応してもらえる
・プライバシーが守られる
書いているうちに、「悪天候でも乗っちゃえば問題ないな」とか、「ちょっとしたセレブ感があるよね」みたいな特長が浮かびます。
難儀な恋に悩むロンリネスさんにしてみたら、プライバシー保守の延長線上で「周りを気にせず号泣のアリアを響かせられる」のもポイントでしょうか。
<コロナ後の社会がライバル>
こんな感じで書き留めたあれこれは、すべてキーワード。
あとは案件やテーマ、媒体によって単語を選び、フレーズを調整するだけでコピーの完成!
この作業こそ難しいんですが(笑)
アイデア出し全般に通じる手法かと思い、ご紹介しました。
そうそう、「ライバルを設定する」と書くと、いささか物騒な感じがしませんか? ぼくは……します(笑)
大事なのは敵を作ることじゃないんですよね。では、なんのためのライバル設定かといえば、自分(クライアント)の強みの明確なキャッチ、そして言語化。
コロナ後の社会・業界をライバルとしたとき、自分や活動にはどんな強みを際立たせられるか ―― この手法を使えば、そんな炙り出しも出来ますね。
ちなみに、ぼくがコピーを書くときは、1発でキメに行くと必ずドツボにはまるので(泣)メッセージを最も伝えたい友人や家族を1人思い出しながら、普段使いの言葉で、会話調で、気楽にたくさん書き出します。
最近の取材
年明けはこんな感じでコピーライティングを見直したり、PAGOT・堀井さんのインタビューを書いたりしていました。
取材に関しては先週、多可町の朗読ボランティアを訪問。社会福祉協議会社協のスタッフさん及び、町内で活動されている3つのグループにお話を伺いました。
グループの成り立ちや活動を支える原動力、「標準語で読むことが難しい」など、聞きどころが沢山。3グループに取材できたことで、対比できた点もありました。「たか歩き」に書こうと思っています。
先日は半日、ユニークな活動形態の幼稚園に密着。こちらは動画をたくさん撮ったので、どうにか映像に……。
そういえば、多可町は成人式が行われましたね。式典や運営に関わる方々が、何週間にもわたって「コロナ禍でどうなることやら……」と不安を口にしていたので、無事に開催できたのだなぁと。
▼多可町公式Instagram
https://www.instagram.com/tv/CJ3gajsp6gg/?utm_source=ig_web_copy_link
晴れ舞台を迎えた新成人、凛々しい。こんな状況でも着飾り、懐かしい面々と再会できた感激が、映像からも伝わってきます。
式の感激が数年……数十年後、裏方に徹した先輩(大人)や育った土地への感謝に変わったら、ぼくと一緒に(多可町にお世話になった人として)、恩返しの方法を考えてほしいです。
新成人の皆さん、おめでとう!
(2021年1月15日)