こんにちは。たかおこし隊の黒川です。
今回の「たか歩き」は多可町の朗読ボランティアを訪ねるシリーズの第4回。
「せせらぎ」(加美区)の座談会を記事にしました。
※話者のお名前は伏せ、グループの発言としています。ご了承ください。
記事のポイント
- 憧れの先生に厳しく指導されて
- 心を込めた情報をリスナーさんに
- どうしても出てしまう地の声、多可の抑揚
- 足音で誰だかわかるわ
- 忘れられないリスナーさんの言葉
「せせらぎ」加美区
朗読ボランティア「せせらぎ」(加美区)
設立:平成4年
人数:10名
開催:月1回
場所:加美コミュニティプラザ
加美区の朗読ボランティア「せせらぎ」。熱心な講師の指導から始まったグループは、印象的なリスナーさんの言葉やユニーク(?)な夢を聞かせてくれました教えてくれました。
―― 立ち上げの経緯を教えてください。
「せせらぎ」は平成3年に開催された朗読講習の受講メンバーで立ち上げました。設立は翌年、平成4年です。
―― どのような講習でしたか?
10回くらいの講座がありました。講師は鈴木登志子先生。
1文どころか、1語ずつ「だめ、そこはおかしい」と指摘が入るほど厳しく、うちひしがれるメンバーもいました。
ただ、読み方や抑揚の美しさが素晴らしく、いまでも憧れの先生です。
―― 朗読をするとき、大事にされていることはなんですか?
1.心を込めて
□が不自由だったり、見えなかったりするリスナーさんはどんな日々を過ごしているのか? 知りたいこと……感じたいことはなんなのか。こういうことを想像しながら、心を込めて情報を届ける気持ちです。
2.理想の声と自分の声
できるだけ聴きやすく、耳に心地よい音声で……と思うのですが、がらがらの地声が出てしまいます(笑)
3.多可町の言葉で
定期的に集中講座を受講して、鈴木先生を始め、いろんな先生に教えていただきました。
先生方のように美しく読むのは理想です。ただ、どうしても地の声、地元の抑揚が出てしまいます。
悩む時期もあったんですが、いまは、「読み上げるテキストが多可町の広報誌や議会だよりなのだから、地元の言葉でいいんじゃないか?」と思うようになりました。標準語と多可町の間くらいを、じょうずに読めたらいいなと。
―― 朗読ボランティアを続けてきて、よかったことはなんですか?
「広報たか」や「議会だより」を念入りに読むので、町の様子や町政への関心が強くなりました。きっと……朗読していなければ無関心のままでした。よかったと思います。
―― リスナーさんからは、どんな反応がありますか?
以前と違って、今は録音データをリスナーさんに直接手渡せないので、感想が聴ける機会がほとんど無くなってしまったんです。
配達していた頃はね、足音を聞きつけて玄関まで来てくれるリスナーさんもいたんです。足音の違いで、誰だか分かるから、「あんただと思った。待ってたで」って言ってくれて。
一緒に聴いてくださるご夫婦が「2人で聴かせてもらってるで。いつもありがとう」とお礼を伝えてくれたり。懐かしいですね。
―― 思い出に残る出来事を教えてください。
1.夢にうなされた
うまく読めていない声が夢に出てきたことですね(笑)
正しい標準語のイントネーションが身に付かなくて、「よく読もう、上手に読もう」と思うのに出来なくて……出来てない声が夢のなかに響きました。
でも、仲間からは「あんた、初めはもっとむちゃくちゃやったで。じょうずになったわ」って言われます(笑)
2.我が子の顔
あるリスナーさんと話したとき、私たちの声に馴染みがあるからか、ポロっと本音を聞かせてくれたことがあります。
その方が「自分で建てた家と、我が子の顔が見たいんや」って。
それを聞いた瞬間、「どんな気持ちで生きてきたんだろう」って……たまらなくなりました。
せめて朗読を聴いている時間は、心地よく居てほしい。
そんな気持ちで、今日まで朗読を続けてきました。
(2021年2月9日)